• 何を読んだらいいの? おまけ

    前回までのページで、本の選び方をいくつかご紹介いたしました。そして、私のお勧めは、

    「部活動や趣味の世界で頑張っているからその分野に関する本、というよりは、

    ・自分がこれまでこんな経験をした
    ・こんな想いを抱いた
    ・こんなことで涙した

     という基準で選んでみると、本の内容や登場人物の気持ちが理解しやすいと思います」

    という内容でした。
    ここである質問が頭をよぎった方のために書き添えます。

    質問 その1

    『気持ちがよく分かるのでマンガでもOKですか?』

    それはNGだと思います(私の主観ですが)。マンガだから内容がよくないという意味ではなく、マンガには(当然ですが)イラストが多いからです。イラストによって場面の移り変わりや人物の心情が表現してあると、どうしても読み手の感じ方の自由度が減ってしまいますよね。登場人物が涙を流したのか流していないのか、嬉しくて飛び跳ねたのか抱き合ったのか。イラストが多いと、そういった読み手一人ひとりの自由な想像が制限され、どうしても描き手の思いをそのまま受け入れることになってしまいます。そうすると、自分の感想や意見を表現しにくくなり、大変苦労することになりかねません。

    質問 その2

    『あの有名な連載もので感想文に挑戦してもいいですか?』

    何冊にも及ぶ連載ものも、できれば避けたいところです(これも私の主観です)。なぜなら読むのが大変だからです。ただでさえ時間がかかる読書感想文に、何冊も本を読むなんてことは避けたいですよね。(もちろん余裕がある方はぜひ読んでください)。

    じゃあ、連載ものの中の1冊だけ読んで感想を書いたのじゃダメ? そうですね、ダメではありませんが難しいと思います。登場人物の気持ちや場面設定などは、最初から読んでいるから分かるということも多いので、例えば10巻ある中の第3巻だけを読んで全体を理解するというのは難しいでしょうし、第1巻だけ読んでみても自分が思いを寄せた登場人物の心が最終的にどう変わっていったかを知らないままでは不十分だと思うからです。結局連載ものは全巻読まなくてはならなくなりますので、できれば1冊で完結する本が良いのではないかと思います。

    質問 その3

    『どうしても読みたい本が見つからないのですが……』

    そういうこともあります。星の数ほどある本を全部読んでみるわけにはいきませんので、書店や図書館である程度探してみてくじけてしまいそうなら、ここはもう基本に戻って、昔から読み継がれている名作に挑戦してみるのはどうでしょう。泣いた赤おに、走れメロス、モモ、星の王子様などなど。長く愛されている本というのは、それだけ共感を得ている本とも言えます。最初は難しそうに見えても、きっと自分の心に響くなにかがあるはずです。